『風車をつけた乳母車を押してゆく母がいた。庭の生垣直している父の姿があった。私はまだ5歳になったばかり。母の後を追いかける。駅までの道は麦が実り、乳母車には眠る弟。黄金色の風が麦畑を越えていった。黄金色の風が母の髪を揺らした。買い物帰りには歌を歌った。母は少し低い声で。エプロンにつかまり私もまた「仲良し子馬」の歌を歌った。黄金色の風が風車を廻していた。黄金色の風が遠い日々を歌った。』
「遠い情景」は広谷順子1st.Album<その愛に1979年リリース>に収録されています。歌詞は竜真知子さんによるものです。丹波は麦畑ってあまり見ないので、この時季、稲が実るとこの歌を思い出します。5歳の少女が見た風景はきっと初夏だったんでしょうね。何気ない日常がこのうえなく幸せを感じます。機会があれば聴いてみて下さいね。